タンクシーラントの方法とテクニック
〜これから先安心して利用するために
Tank Sealant Method and Techniques

製造から100年ほど経過したランタンやランプの多くは、そのフォウント(タンク)が錆で腐食していることが多々あります。これを知らずして実用中にタンクから燃料が霧状に噴出し、大惨事になるようなことも考えられます(実際に経験した人の話を聞いたことがありますがかなり危険です)。当ワークショップのレストアの作業のひとつで、特に重点的に行う作業にフォウント(タンク)のシーラント加工があります。作業はさほど難しくはありませんが、モデルにより内部構造が異なりますので、しっかりとその構造を熟知した上、モデル毎に適切な方法を行う必要があります。必要に応じて日本への転送させて頂く前、リクエストがあればタンクのシーラント加工処理(別お代金)も行うことができます。 オークション転送サービスはこちらからどうぞ
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How Bad?

シーラント前の重要チェックポイント!

錆の具合をまず確認します。しかしながら表面からは目視できない虫歯と同様、なかなかタンク内の錆の状況を把握するのは困難です。まずはタンクを振り、“シャカシャカ音”が聞こえてきた場合、少なからず錆は発生しています。これが“カランカラン♪”と、リズミカルなサウンドの場合、上記(↑)写真のような最悪の状況かもしれません・・・。このレベルの場合、タンクが腐食している可能性が大、もしくはまだ腐食はしていないものの、将来腐食し始め燃料漏れになる可能性(危険!)も大です。

  Which Model?     

シーラント加工をする前提は、その必要性がある場合です。モデルやその製造年により異なりますが、必ずしも必要とは限りません。例えば、上記(↑)のようなシャカシャカ音レベル、もしくはカランカラン音レベルでもなく、タンク内を覗き込んだところ何やら錆らしきもの(色)が確認されたような場合・・・・。このくらいのレベルであれば、まずはそのままで使用することも必要な決断です。ざくっとした目安ですが、1970年代以降のモデルの場合、シーラントを必要なほど腐食しているケースはほとんど無いようです。

もし、どうしてもシーラント加工をしたい、してみたい、とりあえずやってみたい!と思われる場合は、まずそのモデルのタンク内構造をよく把握した上で行うことをお勧めします。シーラントは一度固まってしまうと、簡単に薄利することはできませんので構わずシーラントを流し込んでしまうと、リスク度120%くらいになってしまいます。


Techniques

上記(↑)はいくつかのモデルを例にした参考イラスト(断面図)です。A〜Dは比較的現在でも多く出回っている『モデルCQ』です。Aではシーラントを構わず流し込んでしまった場合(入れすぎ)に想定できるありがちなミスです。結果フィードチューブまでシーラントが入り込みほぼ再生(実用)できなくなります。Bはシーラントを少量ずつ流し込み、チューブからゆっくりと空気を送り込み、万が一チューブにシーラントが入り込まないようにします。この時、イラストのように地面(床)にタンクのエッジをあて、これを軸に暫くゆっくりとタンクを回転させながら乾燥させていきます(※定期的に空気の送り込み要)。Cは前途Bの作業を行った後、うっかりとそのまま放置(ふさいだガスキャップ部分を下にして放置)してしまった悪い例です。結果はご想像できる通りです。Dは乾燥途中、または暫く放置するような場合、ガスキャップは目詰まりしない角度(ズイラストではガスキャップを上に向けている)で置くのが理想です。この時、タンク内部側のフィードチューブ先端にも、シーラントが垂れ流れてこないよう、注意を払う必要があります。

次に、イラスト左下のモデル327でのテクニックの一例です。このモデルのガスキャップはイラスト下部の真ん中のように、内部にねじ山(GAS CAP THREAD)がある構造ですので、シーラントを流し込む際、このねじ山を埋めないように注意が必要です。理想はイラストのようにノズル部分が長く、細めのファンネルを利用するスムーズに作業ができます。もしねじ山にシーラントが少しでも付着してしまった場合、即座に綺麗に拭き取ってください(これを怠るとガスキャップが締め込みできなくなります)。

  Reference

上記説明は、シーラント加工をする前に状況確認、ならびその過程を1/20くらいに簡素化した参考レベル程度になります。当ワークショップでは、これまで数多くのランタン、ランプのシーラント加工(レストアを含め)を行っていますが、そのたびに異なる判断、テクニックを利用することが度々あります。そのため、場合によっては同じモデルでも毎回同じようにスムーズに作業が進むとは限らず、またこちらでご紹介させていただいた方法に沿って作業を行った場合でも、予期せぬ結果になってしまうことも考えられます。

また、上記CQランプの手順のひとつで、『空気を送り込み』とする部分がありますが、コンプレッサーを使用することもできますがその空気圧(強すぎ!)から理想はフィードチューブをストローのように口にくわえ、ゆっくりと息を吹き込むのが一番です。この判断は皆様の判断にお任せしますが、もしこの方法で行われる際、フィードチューブには人体に害となる物質、物体などを吸い込んでしまう(シーラント剤も含め)ような事故も考えられますので、くれぐれも自己責任の上、行うようお願いいたします。

※注意)シーラント剤を扱う際は目の保護、ラテックスグローブ(ゴム手袋)の利用、十分な換気をするなど安全な環境で行うことを強くお勧めします。尚、イラスト(手書き)は参考程度で大雑把に書かれています。そのため、正確にはイラスト内に描かれていない詳細部分もあること、ご承知置きください。




シーラント加工を駆使し、これから長年灯りを灯すことができますように・・・。

シーラント加工をしたオールドコールマン達です(↓)。画質悪し